不動産の買取価格が妥当か、確かめる方法

提示された金額は、妥当でしょうか。

業者から買取価格を受け取ったとき、多くの方がそう感じます。ただ、その金額がどんな根拠に基づいているかを確かめる手段があることは、あまり知られていません。

私は不動産鑑定士として、不動産の適正な価格を判定する仕事をしています。提示された買取価格の妥当性を確かめる方法と、それにかかる費用の目安をお伝えします。

提示された買取価格は、根拠のある数字か

あるご相談を例に話します。相続で土地を引き継いだ方のもとに、数週間後、不動産会社から手紙が届きました。「購入を希望されている方がいます」という内容で、金額も添えられていました。

その方が最初に感じたのは「妥当なのかどうかが分からない」ということでした。売るにしても、その金額が相場から見て適正なのかが判断できない。

業者が出す買取価格と、不動産鑑定評価(不動産鑑定士が根拠を示して判定した価格)は、性質が違います。買取価格は、その物件を市場に出した場合にどのくらいで売れそうかを見立てた上で、業者側の採算を考慮して決まる数字です。区画分譲など商品化して売ることを前提にしているため、市場価格より低くなるのが普通です。

問題は、その差がどれくらいあるか分からない点にあります。

第三者への確認で、価格の根拠が明らかになる

「提示された金額は妥当ですか」という問いに答えるには、根拠のある数字と並べてみるしかありません。

私が相談を受けたとき、正式な依頼の前に、適正な価格がどのくらいの水準になりそうかを幅でお伝えしています。この段階では費用はかかりません。

その水準を見て、業者から提示された金額と比べていただく。その数字を踏まえて、鑑定評価まで進めるかどうかを決めていただきます。

鑑定評価書は、判定の根拠が残る書面です。正式にお出ししたあとで、内容を差し替えることはできません。だから、先に価格の水準をお見せして、その目的に鑑定評価が必要かどうかも含めて、ご相談者と顧問の税理士に決めていただく順番にしています。

概算の段階で「この価格帯では、今回は進めなくていい」という判断になることもあります。それで終わりでかまいません。土地はひとつずつ条件が違いますので、概算を出してみてから方針を決めていただければ十分です。

鑑定評価に頼むときの費用と期間

正式な鑑定評価を依頼した場合の費用と期間の目安です。

費用の目安

1件あたりの鑑定報酬は、物件や依頼の目的によります。

費用が一定でないのは、依頼の目的によって作業の量が変わるためです。係争(裁判・調停)が絡む案件は、相手方の弁護士から疑義が来たり、裁判所から説明を求められたりする作業が続くため、通常の鑑定より手間がかかります。依頼の目的を聞いてから見積もります。

期間の目安

ご依頼から評価書をお渡しするまで、おおむね1か月をいただいています。

調査の途中で確認が必要になることもあります(埋蔵文化財の対象地に当たる、聞いていなかった建物がある、法令上の適合に疑いがあるなど)。そのときは一度戻して、どう扱うかを相談しながら進めます。

まず確かめて、それから判断する

「この金額で売ってしまって、後で後悔しないだろうか」という気持ちは、価格の根拠が分からないから生まれます。

根拠のある数字を一度手に入れると、その感覚は変わります。「これだけの差があるなら、もう少し待って別の方法を探す」か、「この金額で早く現金にする方が自分には合っている」か、どちらを選ぶかを自分で判断できる状態になります。

まず、正しい値段を知ってから決める。売る・貸す・持つという話は、その後でいいのです。

まずはご相談ください

根拠のある価格が必要になったらご相談ください。

お問い合わせ

よくある質問

Q. 業者に買取価格の根拠を聞いても、教えてもらえますか?

業者によって対応は異なりますが、具体的な算出根拠を書面で示してもらえるケースは多くありません。買取価格は業者側の採算から逆算して決まるため、詳細を開示しない場合があります。提示された金額が妥当かどうかを確かめたい場合は、第三者の不動産鑑定士に概算を聞くのが現実的な方法です。

Q. 買取価格が妥当かどうかは、不動産鑑定評価で確かめられますか?

確かめられます。不動産鑑定評価は、不動産鑑定士が根拠を示して適正な価格を判定し、その過程を書面(鑑定評価書)に残すものです。業者から提示された買取価格と、鑑定評価で出た価格水準を比べることで、金額の妥当性を確認できます。ただし、鑑定評価の結果が税務上どのように扱われるかは、顧問の税理士にご確認ください。

Q. 鑑定評価を頼むと、費用はいくらかかりますか?

1件あたりの鑑定報酬は、物件や依頼の目的によります。まず概算でお伝えする段階では費用はかかりません。その概算を見てから、正式な鑑定まで進めるかどうかを判断していただけます。

Q. 複数の業者に打診して、買取金額を比べることはできますか?

できます。複数の業者に声をかけて、それぞれの提示金額を比べることは有効な方法のひとつです。ただし、業者ごとに算出根拠や前提が異なるため、金額に差が出るのは自然なことです。高い金額が必ずしも適正とは限りません。業者間の比較と並行して、第三者の不動産鑑定士に概算を聞くと、より判断しやすくなります。

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