売り時を待っている土地でも、固定資産税の請求書は毎年届きます。
「売ろうとは思っているが、今が本当に売り時なのか分からない」。そう思いながら数年が経った、という相談が届くことがあります。手放したくないわけではない。ただ、動く根拠がないまま時間だけが過ぎている。
いま売る場合と、数年待つ場合では、何が変わり、何が変わらないのか。この2点を確かめることで、判断するための材料が揃います。
待つあいだも、固定資産税と管理費は積み上がる
使っていない土地を持ち続けていると、毎年発生する費用があります。固定資産税です。
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。そのため、売り時を待っている間も、土地を所有している限り支払いが続きます。税額は土地ごとに異なり、路線価や地積、用途地域など、さまざまな条件が関係します。待つかどうかを考えるうえで、年間いくらかかるのかを把握しておくことは欠かせません。税額の計算や特例については別の機会に取り上げますが、まずは「待つ間も費用が発生し続ける」という事実を押さえてください。
管理費も同様です。建物がない更地でも、草が茂れば近隣から苦情が来ることがあります。雑草の刈り取り、不法投棄の後片付け、フェンスの修繕。土地を持っている方から、「売る前に思わぬお金がかかってしまった」という話を聞くことがあります。
待つという判断は、費用がかからない状態を選ぶことではありません。
土地の価格が上がるか下がるかは、土地ごとに違う
「数年待てば高くなるはず」という期待がある一方で、「今は下がり気味だから早めに動いたほうがいい」というアドバイスを聞いた、という話も届きます。どちらの可能性もゼロではありません。ただ、私が正直に言えることは一つです。価格の動きは、その土地の条件によって異なります。
私は不動産鑑定士として地価公示の評価にも関わっていますが、価格の動きはエリア全体で一律に起きるわけではありません。
土地の価格が変わる要因には、主に次のようなものがあります。周辺の道路整備計画や開発の動向(アクセスが変われば需要が動く)、近接する工場や商業施設の状況(閉鎖されれば人の流れが変わる)、用途地域の見直し(建てられるものが変われば、価格に影響が出ることがある)。
こうした変化は、起きる可能性はあっても、必ず起きるとは限りません。
待ち続けた結果、費用だけが積み上がり、状況が変わらなかったケースもあります。一方で、周辺の変化を見極めて動いたことで、適切な価格で売れたケースもあります。
「待てば必ず上がる」とは言えませんし、「今すぐ動けば損をしない」とも言えません。価格の方向性は、その土地の立地や周辺環境の変化を見て判断するものです。
土地の値段がどのように決まるかについては、土地の値段を決めているのは、買う人の採算でも整理しています。
今の価格を先に知ると、急ぐお金と待てるお金が分かれる
「急ぐお金と待てるお金を分ける」という考え方があります。これは、土地の価値を数字で把握することで、初めてできる整理です。
今の価格が分かると、具体的な比較ができます。
例えば、固定資産税を払い続けながら5年待った場合にかかる費用と、今売った場合に手元に残るお金を比べることで、「5年待つことに費用対効果があるかどうか」を考えられます。今の価格が分からなければ、こうした比較はできません。
同様に、「今すぐ現金にする必要があるのか、時間をかけてもいいのか」も、価格を知らないままでは判断しにくいものです。相続税の納税期限がある場合は時間が制約になりますが、そうでない場合は、今の価格を把握したうえで、急ぐ部分と待てる部分を分けて考えられます。
選択肢には、売る・貸す・持ち続けるという道があります。貸す場合も、契約の形によっては契約時にまとまったお金が入ることがあります。どの選択肢が合うかは、今の価格や土地の条件を踏まえて考えることが大切です。
私は不動産鑑定士として価格を判定する仕事をしていますが、同時に売買の仲介も行います。まず価格を判定してから売買に入るため、売却を前提に数字を作ることがありません。売る・貸す・持ち続けるという3つの道をお伝えできます。
まず、正しい値段を知ってから決める。これが私の考える順番です。
今の価格を見てから、待つかどうかを決める
待つ間も費用は積み上がる。価格が変わるかどうかは、その土地の条件次第です。この2点を整理すると、「いつ動けばいいか」を考える根拠が生まれます。
その根拠を作るために、まずは今の価格を知ることが大切です。
「まだ待つべきか」「今動くべきか」という答えを先に出そうとするのではなく、今の価格を数字で把握してから、急ぐ理由があるかどうかを確かめる。この順番で考えると、「なんとなく様子を見ている」状態から抜け出せます。
よくある質問
Q. 土地を売らずに持ち続けると、固定資産税は毎年かかりますか?
はい、かかります。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されます。土地の面積や評価額によって金額は変わりますが、売却するまでの間は毎年発生します。建物のない更地は住宅用地の軽減特例が適用されないため、課税の扱いが変わる場合があります。税額の詳細や特例の適用については、管轄の市区町村または顧問の税理士にご確認ください。
Q. いつ売るのが一番いいか、どうやって判断すればいいですか?
「今が最適」という答えを一概には出せませんが、判断のための材料を揃えることはできます。今の価格を知り、年間にかかる維持費を把握し、急ぐお金があるかどうかを確認する。この3点が揃うと、待つかどうかの根拠が生まれます。まず今の価格を知るところからご相談いただけます。
Q. 土地の価格は、待っていれば上がりますか?
土地によります。周辺の道路整備・開発計画・用途地域の変更など、価格が変わりうる条件はありますが、必ず上がるとは言えません。下がる場合もあります。価格の方向はその土地の立地と周辺の変化によって異なりますので、待つことを検討するなら、まずその土地が今いくらか、どんな条件にあるかを確認することが先です。
Q. 土地の今の価格を知るには、まず何をすればいいですか?
不動産鑑定士または不動産会社に相談するところから始まります。葵不動産では、概算をお伝えする段階では費用が発生しません。「今この土地がどのくらいの価格帯にあるか」を先にお伝えし、その数字を見てから売る・貸す・持ち続けるのどれにするかを決めていただけます。概算の段階で「今回は見送ります」となっても構いません。

