使っていない土地を持っていると、毎年春ごろに固定資産税・都市計画税の納税通知書が届きます。
実際には、もう2つ見落とされやすい費目があります。都市計画税と管理費です。この3つを合計してはじめて、「持っているだけで年にいくら出ているか」という数字が見えてきます。
固定資産税だけでは、保有コストは全部見えない
通知書には、たいていもう1つの税目が並んでいます。管理費にいたっては、どこからも請求書が来ません。
都市計画税は、同じ通知書に記載されている
固定資産税の納税通知書をよく見ると、都市計画税(としけいかくぜい)という行が一緒に載っていることがあります。都市計画法に基づいて市街化区域内の土地に課される税で、名古屋市をはじめ愛知県内の多くの市町村でも課税されています。
私は、名古屋市のほか、県内複数の市町の固定資産税の基準となる鑑定評価を行っています。その経験からお伝えすると、この都市計画税を「固定資産税とは別のもの」として認識していない方が多いです。通知書に一緒に記載されているため、見落としやすい構造になっています。
税額は固定資産税より低い場合がほとんどですが、1年分を合算すると固定資産税だけを見ていたときより1〜2割増えることがあります。
管理費は、通知書に載らない
もう1つが管理費です。こちらは誰も請求書を送ってきません。そのため、保有コストを考えるときに抜けやすい費目です。
使っていない土地でも、草が伸びれば刈る必要があります。不法投棄があれば処分しなければなりません。フェンスや擁壁があれば、状態を確認する手間もかかります。業者に依頼するか自分で対処するかで費用は変わりますが、年間でまとめると無視できない金額になることがあります。
3つの費目を、それぞれ計算する方法
概算であっても、3つを数字にする手順は決まっています。
固定資産税の概算
基本の計算式は、課税標準額(かぜいひょうじゅんがく)に1.4%をかけたものです。課税標準額は毎年届く納税通知書、または市区町村の窓口で確認できます。
住宅が建っている土地には住宅用地の特例があります。一方、更地には原則としてこの特例が適用されません。ただし、更地であっても負担調整措置などがあるため、固定資産税評価額と課税標準額が必ずしも同じになるわけではありません。
都市計画税の概算
都市計画税も、課税標準額に税率をかけて計算します。名古屋市の税率は0.3%です。納税通知書には、固定資産税とは別に都市計画税の税額が記載されていますので、年間の負担額を確認できます。
市街化調整区域内の土地には、都市計画税はかかりません。お持ちの土地がどの区域にあるか分からない場合は、市区町村の窓口や都市計画情報などで確認できます。
管理費の概算
管理費は土地の広さや状態によって変わります。草刈りを業者に依頼する場合、1回の費用は広さや草の量によりますが、数万円が目安になることが多いです。年に2〜3回行えば、年間で10万円前後になることもあります。
フェンスの点検・清掃・除草剤の散布などを加えると、土地の状況によっては年間30万円前後になる場合もあります。これらは土地ごとに条件が大きく異なるため、まずは直近1〜2年の実績費用を振り返ってみてください。
合計額が出てはじめて、保有の実態が見える
例として、課税標準額が1,000万円の更地(市街化区域内)を考えてみます。固定資産税が14万円(1,000万円 × 1.4%)、都市計画税が3万円(1,000万円 × 0.3%)、管理費を年間10万円とすると、合計は年間27万円です。10年持ち続ければ、270万円を超えます。
この数字が手元にある状態と、ない状態では、判断の出発点がまったく違います。数字がないまま「売るべきか」「貸せないか」と考えても、何と比べればいいかが分かりません。合計コストが見えてはじめて、売った場合の手取り額や、貸した場合の年間収入と比較できるようになります。
もちろん、土地はひとつずつ条件が違いますので、この概算がそのまま答えになるわけではありません。税率や評価額の詳細は、市区町村窓口または顧問の税理士にご確認ください。
年間コストを知ることが、次の一歩になる
今すぐ売るか貸すかを決めなくてもかまいません。ただ、年間にいくらかかっているかを数字にしておくことには、意味があります。私がこのブログを「何もしないための、時間の先行投資」と呼ぶのは、そういう意味です。動かない判断を続けるにしても、その判断が正しいかどうかを確かめるためには、数字が要ります。
保有コストを起点に、売る・貸す・持ち続けるという3つの道を数字で見比べられる状態にする。それが最初の一歩です。
よくある質問
Q. 固定資産税と都市計画税は、どこで確認できますか?
毎年春に届く固定資産税の納税通知書に記載されています。固定資産税と都市計画税はそれぞれ別の行に分けて表示されていることが多いです。通知書が手元にない場合は、市区町村の税務担当窓口に問い合わせると、課税明細を取得できます。
Q. 遊休地の管理費は、年間どのくらいかかりますか?
土地の広さや状況によって異なります。草刈りを年2〜3回業者に依頼する場合、年間10万円前後になることが多いです。フェンスの点検・修繕や除草剤の散布を加えると、さらに高くなることもあります。管理費の見当がつかない場合は、直近1〜2年の実際の支出を合計してみるのが確実です。
Q. 保有コストを計算すると、何が分かりますか?
「持ち続けること」にかかる年間の出費が数字になります。この数字があると、売却した場合の手取り額や、貸した場合の年間収入と比較できるようになります。数字のない状態で「売るべきか」と考えても何と比べればいいかが分かりませんが、保有コストを起点にすると、選択肢を並べやすくなります。具体的な売却価格や賃料の水準が気になる場合は、お気軽にご相談ください。

