誰に貸すかで、土地の値段は変わる

貸している土地の賃料が毎月きちんと入ってくるなら、それ以上気にする必要はないと思っていませんか。

土地aを貸している方から、そういう話を聞くことがあります。賃料が安定して入る限り、土地の状態は変わらない。その感覚は理解できます。ただ、不動産鑑定士として価格を判定してきた経験からすると、同じ賃料が入っている土地でも、誰に貸しているかで評価が変わることがあります。

賃料の金額と、土地の価値は、必ずしも同じ話ではありません。

同じ賃料でも、貸している土地の評価が変わる

「賃料が同じなら、土地の価値も同じはず」と感じるのは自然なことです。ただ、不動産の評価では、賃料の金額だけを見るのではなく、その賃料収入がどれだけ安定して続きそうかも判断材料にします。

例えば、月20万円の賃料が入っているとします。貸している相手が全国展開している薬局チェーンの場合と、開店して1年ほどの個人経営の飲食店の場合では、「この賃料収入が10年後も続いているか」という見通しが大きく異なります。同じ月20万円でも、その確実性が違えば、土地の評価も変わります。

将来にわたってどれだけの収益を期待できるかを見積もるとき、賃料の金額と、賃料収入が続く確実性の両方が評価の土台になります。

借り手の信用力が、土地の価格に反映される仕組み

土地の価格を収益の側から見ると、借り手の信用力が直接影響します。賃料を継続して受け取れる可能性が、価格の算定に組み込まれるからです。

財務基盤のしっかりした企業が借り手であれば、長期にわたって安定した賃料収入が見込まれます。全国規模で展開している企業の場合、一事業所が閉鎖されても会社全体への影響は限られます。小規模な個人経営の店舗では、閉店や賃料の滞納が起きる可能性を考慮に入れる必要があります。

私はお客様に、こんな話をすることがあります。同じ賃料が入っていても、上に建っているのが全国チェーンなのか、いつ閉店するか分からない店なのかで、その土地の価値は変わります。これは比喩ではなく、評価の場面で実際に起きることです。

底地(建物が建っている土地を、土地の所有者の側から見た呼び方)の価格を判定するとき、誰が建物を建てているかは必ず確認します。借り手の業種・規模・財務の状況が、土地の価格に反映されます。

土地の価値は、誰が借りているかを含めて評価する

賃料が高ければそれでよい、という考えは理解できます。ただ、賃料の高さと、その賃料が続く確実性は別の話です。

例えば、郊外のロードサイドに土地を持っている方が、2つの条件を提示する借り手を探しているとします。一方は月25万円を提示した小規模な飲食店。もう一方は月22万円の全国チェーンの薬局です。賃料だけを見れば前者を選びたくなります。

ただ、土地の評価としては後者のほうが高くなる場合があります。安定した収益が長期にわたって見込めるほど、底地の価格は高くなるためです。回転寿司店や薬局のように、土地だけを借りて自社で建物を建てる形で運営している全国チェーンは、長期の定期借地契約を結ぶことも多く、賃料が続く確実性が高い借り手と見なされやすい傾向があります。

もちろん、土地はひとつずつ条件が違いますので、どの借り手がよいかは一概には言えません。立地や面積、契約の形によって答えは変わります。

賃料の先にある数字を、先に見ておく

土地を貸す判断をするとき、賃料の金額に目が向きがちです。でも、底地の価格を決めるのは、賃料の金額と、その賃料を継続して受け取れる確実性の掛け合わせです。

借り手を選ぶ前に、まず今の土地がどのくらいの価格なのかを確認しておく。その数字が分かれば、どんな借り手を探すべきかの目安も出てきます。先に数字を知ってから、判断することが大切だと、私は考えています。

まずはご相談ください

借り手を選ぶ前に、まず今の土地の価格を確認するところからご相談ください。

お電話でのご相談
052-950-7001

よくある質問

Q. 賃料が同じなのに、貸す相手によって土地の評価額が変わることはありますか?

あります。土地の価格を収益の側から見るとき、賃料の額だけでなく、その賃料が今後10年・20年と続く見込みの高さも評価に影響します。信用力の高い借り手の場合、長期にわたる安定した賃料収入が見込まれるため、土地の評価が高くなる傾向があります。

Q. 借り手の信用力は、どのように土地の価格に反映されるのですか?

収益から土地の価格を求める考え方では、将来の賃料収入を現在の価値に換算します。信用力が高いほど、賃料が10年・20年と続く確率が高いと見なされ、価格を高めに評価する根拠になります。逆に、業績が不安定な借り手の場合、閉店・滞納のリスクとして価格に織り込まれます。

Q. 全国チェーンに貸すと、土地の評価は高くなりますか?

必ずしも断言はできませんが、財務基盤のしっかりした全国チェーンへの賃貸は、安定した賃料収入の根拠として評価されやすい傾向があります。ただし、土地の評価は立地・面積・契約期間(一般的に10年から30年程度)など多くの条件によって変わります。まず個別の土地を見立てる必要があります。

Q. 借り手の業況が悪化したとき、貸している土地の価格はどう変わりますか?

借り手の業況悪化は、賃料収入が途絶えるリスクとして土地の評価に影響することがあります。閉店や賃料滞納が現実になれば、安定した収益を見込めなくなるためです。影響の大きさは、立地(別の借り手を見つけやすいか)や残りの契約期間によっても変わります。

ブログ記事一覧

PAGE TOP