現地に行って、端から端まで歩いてみた。でも、どこまでが自分の土地なのか、どこから道路に入れるのか、ぜんぜん分からなかった。
山林や工場跡地を相続した方から、こうした話をよく聞きます。歩いて回ること自体は正しいのに、それだけでは全体像がつかめない。その感覚は、土地の性質から来ています。
広い土地には、地上を歩くだけでは把握しきれない情報があります。高低差・接道状況・全体の形状。そうした情報が抜けたままでは、価格の根拠をつくることができません。
歩いて回るだけでは、何が見えていないのか
地上から見て把握しにくい情報は、大きく分けると3つあります。
全体の形状と境界です。数千坪規模の土地では、自分がどの位置にいるのかを感覚でつかみながら歩くのが難しくなります。隣地との境界付近の状況も、地上の目線で確認できる範囲には限りがあります。どこまでが自分の土地かを把握するために、まず全体を一枚の絵として見る必要があります。
高低差と傾斜の全体像も、歩いているだけでは分かりません。山林では、斜面のどこが急で、どこが緩やかなのかを、移動しながら頭の中で組み立てるのは現実的ではありません。平らに使えそうな部分がどこに、どのくらいあるのかも、足で動いているだけでは見えてきません。
接道状況も曖昧なまま残りやすいところです。道路に面した一点を確認しても、敷地全体のどこから、どのルートで、どのくらいの大きさの車が入れるのかは、全体を俯瞰して初めて分かります。
工場跡地では、建物の基礎や配管の跡が敷地のどこに残っているのかを地上から全部確認しようとすると、相当な時間がかかります。その状態が価格にどう影響するかを判断するためには、まず全体の配置を把握する必要があります。
こうした情報が揃わないまま価格を判断しようとすると、根拠の薄い数字しか出てきません。
空撮と3D化で、面積も傾斜も数字になる
葵不動産ではドローンを使って土地の調査をしています。空撮するだけでなく、撮影したデータをその場で3D化する作業まで現地で行います。
3D化をすると、高さも大きさも数字になります。傾斜のどの部分が何メートルの高低差になっているか、平らに使えそうな部分の面積はどのくらいか、道路に面している距離はどれだけあるか。歩いているときは感覚でしかつかめなかったものが、計測値として出てきます。
記録が残ることも、実務上の意味があります。調査から時間が経ったあとで「あの境界付近の状態はどうだったか」という確認が必要になっても、そのたびに現地へ戻らなくて済みます。3D化されたデータがあれば、後から任意の箇所を確認できます。
価格を判定する人間が、自分でドローンを飛ばして現地で見ています。調査会社から空撮写真を受け取るのと、判断する本人がその場で見るのとでは、拾える情報の中身が変わります。「この数字は根拠になるか」を見ながら飛ばすことと、後から写真を渡されることは同じではありません。
愛知県内で、ドローンを使った不動産の調査に対応している鑑定事務所は、現時点で数社です。
ただし、飛ばせる場所には限りがあります。現地の状況や周辺の環境によっては、ドローンを使えない場合があります。そのときは、地上からの調査を中心に進めることになります。
測れた土地には、価格の根拠が出る
数字で把握できた土地は、使い道の検討を具体的に始められます。
例えば、山林として持て余している土地でも、高低差の少ない部分があれば、そこだけを切り出して別の用途で考えることができます。接道状況が分かれば、どのくらいの規模の使い方が成り立つかを検討できます。土地全体ではなく、使える部分だけを見ていくことで、売れる相手が見えてくる場合があります。
市街化調整区域(原則として一般的な建物を建てられない区域)の土地も、選択肢がなくなるわけではありません。建たない土地だからといって、売れない土地になるとは限りません。建てられる人を探すことで、売り先が生まれることがあります。農地として使える人、資材置き場が必要な事業者など、組む相手によって使い道が開く場合があります。
鑑定評価書は、判定の根拠が残る書面です。「なぜこの価格か」を説明できる数字が揃ってはじめて、根拠として使える評価書が出てきます。土地の状態を数字で把握することは、価格をつくる作業の起点です。
もちろん、土地はひとつずつ条件が違います。調査をすれば必ず売り先や使い道が決まるわけではありません。数字で把握した状態で「どうすれば動かせるか」を考えることと、感覚だけで話し合うこととでは、辿り着ける結論が変わります。
上から見て、初めて数字になる情報がある
地上を歩くだけでは届かない情報があります。全体の形状、高低差、接道のルート。これらが数字で出てきてはじめて、「この土地は今いくらか」の話を始められます。
売る・貸す・持つの判断は、まず数字を知ってからで構いません。その数字を見てから動くかどうかを決めていただければ十分です。
よくある質問
Q. 山林や広大地の調査にドローンを使うと、何が分かりますか?
上空から撮影して3D化することで、土地の全体的な形状、高低差の数値(斜面のどこが何メートルの起伏になっているか)、接道状況、隣地との境界付近の状態が把握できます。歩いて回るだけでは感覚でしかつかめなかった情報が、計測可能な数字になります。
Q. 工場跡地の接道状況や高低差はどうやって調べるのですか?
ドローンで上空から撮影し、3D化することで確認します。敷地が数千坪規模になるほど地上からの目視では全体を把握しにくくなります。どの方向に道路が面しているか、敷地内の高低差がどのくらいあるかを、数字として調査の記録に残します。
Q. ドローン調査と地上調査では、何が違いますか?
地上調査は、道路に面した状況や建物の状態などを歩いて確認するものです。ドローン調査は、上から撮影して3D化することで、土地全体の形状・傾斜・接道状況を数字として把握します。広い土地・山林・工場跡地では、両方を組み合わせることで調査の精度が高まります。
Q. 愛知県でドローンを使った不動産の調査に対応している事務所はありますか?
愛知県内でドローンを使った不動産調査に対応している鑑定事務所は、現時点で数社です。私はドローンの操縦を自ら行い、撮影から3D化まで現地で完結させています。ただし現地の状況によって飛ばせない場合もあります。山林・工場跡地・広大地の調査はご相談ください。

