固定資産税と草刈り代、管理費を合わせると、年間十数万円になる土地があります。毎年同じ額を払いながら、「そのうち考えよう」と置いたまま、気づけば数年が経つケースは珍しくありません。
「見直し」というと、売ることを急ぐイメージがあるかもしれません。私の言う見直しとは、何にいくらかかっているかを先に全部出し、今の価格の水準を確かめ、売る・貸す・持つという3つの道を数字で比べることです。この順番を踏むと、動くかどうかの判断が落ち着いて出てきます。
土地に何がかかっているか、まず全部出してみる
草刈りと管理費がかかっているのは分かっている。でも、年間でいくらになるかは計算したことがない、という状態の土地は意外と多いです。
出すべき項目は、固定資産税に始まります。次に草刈り業者への年間支払い、管理委託費、老朽化した建物や塀があれば維持費や解体費の見込み額。これを一枚の紙に並べると、「こんなにかかっていたのか」と驚くことも、「思ったより少なかった」とほっとすることもあります。
「何にいくらかかっているか分からない状態では、動く・動かないを決める土台がない」と、私はご相談者によくお伝えしています。売るか貸すかを迷う前に、まず数字を揃えることが最初の仕事です。
建物が残っている場合、解体費用は切り離せない数字です。土地を売るときに解体費が売却価格から差し引かれることが多く、「売ったとしたら手元にいくら残るか」を考える前提として必要になります。解体費用は建物の大きさや構造によって変わりますが、売る前の段階でも解体業者への概算見積もりを取ることができます。
固定資産税の通知書が手元にあれば、地番と評価額を確認できます。草刈り業者への支払いや管理費は振込履歴か領収書から年間合計を出せます。数字が揃ったら一枚に書き出しておくと、次の価格の確認作業に入るときにそのまま使えます。
支出の全体が見えると、次の問いが自然に出てきます。もし売ったとしたら手に入るお金は、この年間コストと比べてどれくらいか。貸したとしたら、年間いくら入ってくるのか。比べるものが揃えば、判断は具体的になります。
今の土地に、どんな価格がつくかを先に確かめる
使っていない土地を持つ方が増えている背景には、相続で受け取ったが具体的な使い道が決まらなかった、という状況が多くあります。手放す気持ちにならないまま管理だけを続けているうちに、周辺の需要が変わっていることも少なくありません。
価格を先に確かめる理由は、選べる道の数が変わるからです。価格の水準が分かれば、「この土地を売ったとしたら、年間コストの何年分に相当するか」「貸したとしたら、毎月どのくらい入るのか」を同じ単位で比べられます。価格が見えていない状態では、どの選択肢が自分に合っているかを考え始めることができません。
私のところでは、正式なご依頼に入る前に、適正な価格がどのくらいの水準になりそうかを、幅でお伝えしています。この段階では費用をいただきません。その価格の水準を見てから、売る・貸す・持つのどれを選ぶか、あるいは今は何も動かさないかを、ご相談者と顧問の税理士に決めていただきます。
鑑定評価書は、判定の根拠が残る書面です。正式にお出ししたあとで、内容を差し替えることはできません。だから先に価格の水準をお見せして、鑑定評価まで進めるかどうかも含めて、決めていただく形をとっています。
土地の価格は、何のために調べるかによって調べ方が変わります。売却価格として知りたいのか、賃貸に出したときの相場を知りたいのか、目的を整理してから確かめると、出てきた数字をそのまま判断に使えます。
数字が揃ってから、動きを決める
コストと価格が出そろったとき、「急ぐお金と待てるお金を分ける」という整理ができます。これは、土地の価値を数字で読めてはじめてできる整理です。
例えば、相続税の納税期限が近い場合には、一定の金額を期限内に現金にする必要があります。ただ、同じ土地でも場所によって用途の適性が違うことがあります。店舗に適した部分と住宅に適した部分を分けて見ると、早く動かせる部分と時間をかけてよい部分が見えてきます。先に住宅に適した部分を現金化すれば、残りはあわてずに検討できます。
コストが年間十数万円かかっていた土地が動いた場合、何年分のコストが止まるかを計算できます。この数字が揃うと、「今動くことで何が変わるか」が具体的に考えられるようになります。
もちろん、土地はひとつずつ条件が違いますので、どの土地も同じようにうまくいくとは限りません。どう動くか、あるいは動かないかは、その数字を見てから決めていただければ十分です。
よくある質問
Q. 草刈りと管理費だけかかっている土地は、売った方がいいですか?
一概に売った方がいいとは言えません。まずその土地の今の価格水準と年間コストを並べてから考えます。価格が出てはじめて、売ることで何年分のコストが止まるかが分かります。土地の形状・接道の状況・周辺の需要によって価格は変わりますので、まず今の水準を確かめることが先です。
Q. 土地の見直しを始めるとき、最初にすることは何ですか?
最初は、その土地に年間いくらかかっているかを全部書き出すことです。固定資産税、草刈り費用、管理委託費、建物がある場合は維持費の概算なども含めます。合計が出てはじめて、売る・貸す・持つのどれと比べるかが決まります。コストが把握できていない状態で価格だけを調べても、判断に使える数字になりません。
Q. 遊休地の価格は、どうすれば分かりますか?
不動産鑑定士に概算の見立てを依頼するのが確かな方法です。私のところでは、正式なご依頼に入る前に、適正な価格がどのくらいの水準になりそうかを幅でお伝えしています。この段階では費用はかかりません。価格の水準を見てから、売る・貸す・持つをどう検討するかを決めていただきます。
Q. 今すぐ売らなくても、見直しは進められますか?
進められます。見直しとは、売ることを決めることではなく、数字を揃えることです。今の土地の価格水準と年間コストを把握しておくだけで、いつか動く必要が出たときの判断が早くなります。売る・貸す・持つは、そのあとに決めても遅くありません。

